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男性不妊情報
前回、AMH(抗ミュラー管ホルモン)が卵巣予備能を予測する指標として有用であることをお伝えしました。
(前回記事は下方のリンクからお読みいただけます)
では、実際に臨床の現場ではどのように使用していくのが良いのでしょうか。
今回はこの様なテーマに沿った研究をご紹介したいと思います。
Female age, serum antimullerian hormone level, and number of oocytes affect the rate and number of euploid blastocysts in in vitro fertilization/intracytoplasmic sperm injection cycles
(女性の年齢、血清AMH、採卵個数は体外受精、顕微授精における染色体正常胚の割合と個数に影響する。)
この論文はイタリアのMarca氏らによって2017年のFertility and Sterility誌に発表された研究です。
この研究では体外受精、顕微授精を行い、着床前診断を行った578組の夫婦を対象として調査しています。
着床前診断とは受精卵が胚盤胞まで成長した段階で細胞を数個採取してきて、染色体異常などがないかを調べる検査で、正常と判断された胚盤胞は流産率が低くなることが特徴です。
(着床前診断については着床前診断によって得られる情報で何が変わるのか?も参照ください。)
まず、対象患者さんのデータの内訳をみてみます。
平均年齢は37.8歳で、採卵個数は10.7個、成熟卵は8.2個でした。
そのうち胚盤胞まで育った卵子は平均3.1個となり、
さらに染色体正常胚の個数は採卵1回あたり平均1.1個となっています。
染色体正常胚獲得はなかなか難しいという事が分かります。
では、染色体正常胚の割合は各因子から予測ができるのでしょうか。
次回はそのことについて触れていきたいと思います。
関連の記事もご参照ください。
凍結融解単一胚移植の場合、AMH値だけでは妊娠出産の可能性を推測できない
『ハナブロQ&A』 その17(AMHが高いですが自然妊娠は?)
(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)