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男性不妊情報
前回、巷にあふれている精力増強剤について、効果が科学的に検証されていないものや、中には危険なもの違法なものもあるといったお話しをしました。
今回は、性欲に直接作用するホルモンを投与する事によって覚せい剤の様な副作用を引き起こすことなく性欲を高める事ができるのではないかという研究についてご紹介していきます。
Kisspeptin modulates sexual and emotional brain processing in humans
(キスペプチンは性的、情緒的な脳の活動に作用する)
これはイギリスのComninos氏らによって2017年のJournal of Clinical Investigation誌に報告された研究です。
キスペプチンとは視床下部から放出される性ホルモン(FSH、LHなど)を調整するホルモンです。
この研究ではこのキスペプチンを健康な男性29人に注射して、偽薬を注射した群と比較しています。
まずキスペプチンを投与した後のホルモンの推移をみています。
これを見ると、当然ながらキスペプチン濃度が上昇し、少し遅れてLHも上昇している事が分かります。
一方、テストステロン、オキシトシン、コルチゾールに関しては変化を認めないという結果でした。
では実際のところ、性欲についての作用はどうなのでしょう。
次回はその点についての結果を見てみたいと思います。
以前の記事もご参照ください
バイアグラは勃起を維持する薬 その仕組みと気をつけることについて
(文責:医師部門 江夏 徳寿、理事長 塩谷 雅英)