"
男性不妊情報
着床前診断は移植する前の細胞を少しだけ採取して染色体異常が無いかどうか確認する方法ですが、これは本当に安全な方法なのでしょうか?
まずはどのように細胞を採取するのか簡単にご紹介します。
上の図は実際の手技の模式図になります。
基本的には着床前診断は胚盤胞の中で胎盤になっていく部分の細胞を数個採取して、その染色体を調べる方法になります。
この頃の胚盤胞は細胞数が百個前後にまで増えており、何個か取ってもその後の成長には問題ないだろうと考えられていますが、実際の臨床結果を見ないと本当に安全かは分かりません。
以前、着床前診断によって得られる情報で何が変わるのか?でお伝えしたように、染色体正常と診断された受精卵は妊娠率は良好であることが知られていますが、その後の成長に問題は無いのでしょうか?
その様な観点から調査された研究がありましたので紹介したいと思います。
Report on a consecutive series of 581 children born after blastomere biopsy for preimplantation genetic diagnosis
(着床前診断後に出産に至った581例の報告)
この論文はベルギーのLiebaers氏らによって2010年のHuman Reproduction誌に発表された研究です。
この研究では着床前診断を行った後に出産に至った581例の妊娠後経過を調べて、着床前診断を行わずに出産に至った顕微授精の成績と比べています。
出生児の体重や、新生児死亡の割合、先天異常の割合などについて、比較していますので、その結果については次回以降でお話ししていきたいと思います。
関連の記事もご参照ください。
(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)