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男性不妊情報
育毛剤が男性不妊の原因となることをご存知でしょうか?
本日は、男性不妊の原因として特に多いフィナステリド(商品名:プロペシア)についてお話しをしたいと思います。
フィナステリドが精子に悪影響を与えるという報告は、当院の男性外来も担当している千葉医師が2011年にfertility and sterility誌に報告しています。
Finasteride-associated male infertility (フィナステリドによる男性不妊)
こちらは症例報告で、元々乏精子症であった男性がフィナステリドを内服したところ無精子症になり、休薬後に精子が再度出現したという症例を報告しています。
さらに2013年にはカナダのSamplaski医師らが同じくfertility and sterility誌に次の様な報告をしています。
Finasteride use in the male infertility population: effects on semen and hormone parameters.
(男性不妊患者におけるフィナステリド使用:精液所見とホルモン所見への影響)
この調査では4400名の男性不妊患者を調べたところ27名(0.6%)がフィナステリドを使用していました。
ホルモン検査はもともと以上を認めなかった事もあり、フィナステリド中止後も変化を認めませんでしたが、精液所見を比べるとフィナステリド中止後に精子数は平均11.6倍も増加しているという結果でした。
精子濃度500万/ml以下の高度乏精子症の方でも57%が中止後に1500万/ml以上に回復していたという事で、まさに驚くべき効果であったと言えるでしょう。
なぜこのような事が起こるのかというのは、はっきりは分かっていませんが大体次の様に考えられています。
フィナステリドは男性ホルモンであるテストステロンが活性型のジヒドロテストステロンに変換されるのをブロックする薬剤です。
男性ホルモンは脱毛の原因となりますので、その活性を抑えることによって脱毛を防ぐという考え方です。ところが、男性ホルモンは精子形成にも重要な役割を持っています。そのため、男性ホルモンの活性がブロックされることが悪影響を与えると考えられています。
現在までの報告は主にフィナステリド(プロペシア)ですが、最近認可されたデュタステリド(商品名:ザガーロ)は更に強力に男性ホルモンの活性をブロックしますので、同様の副作用があると思われます。
この様な背景から、当院の男性不妊外来では初診時に必ず育毛剤の使用について質問するようにしております。内服の育毛剤を使用されている方は一度精液検査を受ける事をお勧めいたします。
(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)