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男性不妊情報

肥満は体外受精の結果に影響するのか? その1

以前、メタボは精子の質を悪化させるという記事(メタボと精子の関係は?)をご紹介しましたが、女性のメタボと妊娠の関係はどうなんでしょうか?

今回は特に女性の肥満と体外受精の結果について検討した研究をご紹介いたします。

Pregnancy outcomes decline with increasing body mass index: analysis of 239,127 fresh autologous in vitro fertilization cycles from the 2008–2010 Society for Assisted Reproductive Technology registry.

(BMIが増加すると妊娠率が低下する:2008-2010年の体外受精239,127周期における検討)

表題を訳しただけで結論が分かってしまいましたが、この論文はアメリカのProvost氏らが2016年のFertility and Sterility誌に発表した研究です。

この研究では、アメリカで体外受精を受けた23万9127周期の妊娠データとBMI(body mass index)の関係を調査しています。以前も述べましたが、BMIとは体重(kg)/身長(m)^2のことで22が最もバランスがとれていると言われています。
結果を見てみましょう。

 


上の表は、体外受精を行った方の卵巣刺激前のベースの状態をみたものです。

これを見ると肥満の方ほど、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の頻度が高くなっているのが分かります。

多嚢胞性卵巣自体が肥満の原因にもなりますので、これは納得できます。

逆に肥満の方ほど、パートナーの精液所見異常の割合は少ないという結果になっています。

これは、女性側の因子で体外受精に進んでいる割合が多いためと考えられます。

 

では、実際に妊娠率や出産についてはどのような結果になっているのでしょう。

次回はそちらを紹介したいと思います。

 

下記リンクもご参照ください。

英ウィメンズクリニックホームページ ニュートリションサポートセンター

 

(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)

参考情報