前回　（下方のリンクよりお読みいただけます）　クロミフェンが男性の低テストステロン血症を改善する

という内容につきご紹介しましたが、

よく似た作用を持つレトロゾールを用いた場合はどうなるのでしょうか。

 

本日は男性におけるレトロゾールの効果について調べた研究について紹介したいと思います。
Changes in hormonal profile and seminal parameters with use of aromatase inhibitors in management of infertile men with low testosterone to estradiol ratios.

(低テストステロン、エストラジオール比を有する男性不妊患者に対するアロマターゼ阻害薬がホルモン動態と精液所見にどのような影響を与えるか。)
この論文はギリシャのグレゴリオ氏らが2012年にFertility and Sterility誌に報告した研究です。
アロマターゼ阻害薬とはレトロゾール(フェマーラ®)やアナストロゾール(アリミデックス®)に代表される薬剤で乳癌の治療薬として開発されましたが、近年は女性の排卵誘発剤としても広く用いられています。

 

（写真は富士製薬工業株式会社のホームページより）

 

この研究では男性不妊患者のうち、テストステロン/エストラジオール比(T/E2比)が10未満の方（簡単に言うとテストステロンの割合が低い方）29名を対象としてレトロゾール2.5mgを毎日投与した群をA群、アナストロゾール1mgを毎日投与した14人をB群として経過を見ています。

レトロゾール、アナストロゾールはともにテストステロンからエストラジオールへ変換する酵素であるアロマターゼを阻害しますので、エストラジオールが低下しテストステロンが上昇する効果が期待されます。

 

また、エストラジオールが低下することにより下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)が上昇する（ネガティブフィードバックというやつですね）ため、これが精子形成にポジティブに作用するのではないかという予測での研究になります。

 

前置きが長くなってしまいました・・・

結果はどうだったのかについては次回お話ししたいと思います。

 

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（文責：[医師部門]　江夏 徳寿　[理事長]　塩谷 雅英）