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新鮮胚移植と凍結融解胚移植。妊娠率が高いのはどちら? 海外データでは

体外受精や顕微授精を行った後にそのまま移植を行うか、一旦凍結してから後日移植を行うのかの判断は時に悩ましいものです。

 

以前、新鮮胚移植? それとも 凍結胚移植? どちらがいいのでしょう?

 

でお伝えしましたが、卵巣を強く刺激した場合にそのまま移植を行うと、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがある事や黄体ホルモン(P)が上昇する事による内膜変化の影響が懸念されるため基本的には凍結融解胚移植をお勧めしています。

では、実際の妊娠率はどれくらい違うのでしょうか?本日はその様な疑問にお答えするような研究を紹介したいと思います。

Freezing of all embryos in in vitro fertilization is beneficial in high responders, but not intermediate and low responders: an analysis of 82,935 cycles from the Society for Assisted Reproductive Technology registry

(凍結融解胚移植は高反応の症例で有益であるが、それ以外では明らかな有益性が無い:82935周期の解析)
この論文はアメリカのAcharya氏らによって最近のFertility and Sterility誌に報告された研究です。

 

まずはこの研究の患者背景について見てみましょう。

 


アメリカでは基本的には新鮮胚移植が多いようで、特に採卵数1-5個群では8割近くが新鮮胚移植を選択しています。

 

この比率は採卵個数が多くなるほど低くなりますが、15個以上採卵できた群でも新鮮胚移植を選択する方が多くなっています。

 

FSH製剤の量を比較すると全体的に凍結した群の方が多いようです。

 

採卵個数については15個以上の群では新鮮胚移植群で21.2個、凍結融解胚移植群で25.2個と差を認めています。

これはやはり採卵数が多い場合に卵巣過剰刺激症候群を回避するため凍結を勧めるケースが多かったためと考えられます。

 

少し気になるのが、全ての群において成熟卵数が新鮮胚移植群の方で多くなっている事です。

 

次回は、妊娠率がどうであったかの結果とその考察についてお話ししたいと思います。

 

関連の記事もご参照ください。

新鮮胚移植? それとも 凍結胚移植? どちらがいいのでしょう?

ハナブロテーマ 「胚移植」

ハナブロテーマ 「凍結融解胚移植」

ハナブロテーマ 「二段階胚移植・SEET」

 

(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)

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