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男性不妊情報

射出精子がいてもTESEをした方がいい場合がある? その1

射出精液中に精子がいない無精子症の方において、精巣を切開して精子を取り出す手術(精巣内精子採取術:TESE)は現在では広く行われるようになってきていますが、無精子症以外でもTESEを行った方が良い症例があるのではないかという意見もあります。

 

本日はその一つの研究をご紹介します。

Higher pregnancy rates using testicular sperm in men with severe oligospermia.

(高度乏精子症患者に対するTESE精子の使用は高い妊娠率につながった。)
これはアメリカのMehta氏らの研究で2015年にFertility and Sterility誌に掲載された論文です。

この研究では、今まで射出精子での顕微授精(平均3.4回)で妊娠していない24人の高度乏精子症患者に対してTESEを行い、同時に採卵して得た卵子に対して顕微授精を行っています(フレッシュTESE-ICSI)。研究ではさらに、TUNEL染色という手法を用いて精子中のDNA損傷具合を観察しています(下図参照)。

 

結果ですが、24人中12人が1回の顕微授精で妊娠しています(妊娠率50%)。この研究の対象患者群は奥さんの年齢が比較的若い(平均36.5歳)ということも要因でしょうが、それまで平均3.4回の顕微授精で妊娠しなかった夫婦間での結果と考えると、やはり非常に高い妊娠率であると考えられます。

 

次回は精子のDNA損傷についての結果を見てみましょう。

(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)

以前の記事もご参照ください。

テーマ 男性不妊

 

以下のリンクもご参照ください

英ウィメンズクリニックホームページ 男性不妊症 TESE

 

(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)

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