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男性不妊情報
前回より、高度乏精子症で射出精子があってもTESEを行った方が良い症例があるのではないかという下記研究を紹介しています。
Higher pregnancy rates using testicular sperm in men with severe oligospermia.
(高度乏精子症患者に対するTESE精子の使用は高い妊娠率につながった。)
これはアメリカのMehta氏らの研究で2015年にFertility and Sterility誌に掲載された論文です。
この研究では、今まで射出精子での顕微授精(平均3.4回)で妊娠していない24人の高度乏精子症患者に対して、フレッシュTESE-ICSIを行い、妊娠率が高かったいうお話をしました。
では、実際精子のDNA損傷具合はどうだったのでしょう。
DNA損傷精子の割合を射出精子と精巣精子で比べていますが、上の図の様に射出精子では24%でDNA損傷が認められたのに対して精巣精子では5%と低い水準でした。
ちなみにDNA損傷精子が確認できるのであれば、それ以外の精子を使えば良さそうに思えますが、残念ながらTunel染色を行った精子は死んでしまうためICSIに用いる事ができません。そのため、DNA損傷のある精子の割合をできるだけ低くすることが重要と考えられています。
結論としては
・高度乏精子症患者においてTESE(精巣内)精子を用いた顕微授精は妊娠率が高かった。
・射出精子よりTESE精子の方がDNA損傷の割合が低かった。
と述べられています。
本論文は24例という限られた症例での話であり高度乏精子症の方全員にTESEを勧めるという程のエビデンスを持つものではありませんが、高度乏精子症の方で顕微授精でもなかなか良い結果が出ない場合には治療の選択肢として考慮する価値があると思います。
(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)
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(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)