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男性不妊情報
着床前診断によって染色体正常胚と診断された受精卵は出産率が高いという事は以前からお伝えしている通りですが、従来の胚盤胞グレードとの関係はどうなっているのでしょうか?
従来の胚盤胞グレードも妊娠率、出産率と相関すると考えられていますが両者の相関についても気になるところです。
本日はその様な疑問について調べた研究について紹介したいと思います。
Correlation between standard blastocyst morphology, euploidy and implantation: an observational study in two centers involving 956 screened blastocysts
(従来の胚盤胞グレードと染色体正常率、妊娠率の関係:2施設による956個の受精卵解析)
この研究ではイタリアとアメリカの2施設で行われた体外受精のうち、着床前診断を行った956個の受精卵について解析しています。
まずは対象患者の内訳を見てみましょう。
イタリアの施設とアメリカの施設では年齢層が少し違っていてイタリアで平均38.8歳、アメリカで36.1歳とアメリカの施設の方が3歳ほど若い層が対象となっているようです。
その影響かイタリアの施設の方が染色体異常率が高く(61%vs49.8%)なっています。
結果としてアメリカの施設の方が染色体正常胚での移植率が高く(45%vs55.1%)、妊娠率も高くなっているようです(57.3%vs75.6%)。
次回は実際にこれらの胚のグレードと染色体異常に関連が見られたのかどうかを見ていきましょう。
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(文責:医師部門 江夏 徳寿、理事長 塩谷 雅英)