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卵管が腫れる?卵管水腫について その2

前回の卵管が腫れる?卵管水腫について その1では、卵管が腫れてしまう卵管水腫という状態について紹介しました。

 

今回は卵管水腫の病態や不妊への影響などについてお話ししましょう。

 

まずは、どういう病態なのか、模式図で説明します。

 

 

 

 

上の図に示したように、卵管水腫は卵管の近位部と遠位部の両端が狭い場合に起こる病態です。

 

両端とも狭くなっているために卵管内の粘液分泌細胞から分泌される卵管液が貯留して卵管が腫れているという状態になります。
卵管が2か所で詰まっている訳ですから、精子や卵子の通過障害が起こり不妊の原因となります。

 

詰まっているなら卵管拡張手術をすれば良さそうにも思えますが、卵管鏡による卵管拡張手術(FT)は子宮に近い部分の狭窄には有効ですが、子宮から遠い部分での狭窄に対してはあまり有効でないことが多く、体外受精の適応となることが一般的です。

ここで注意しておかなければいけない事は卵管水腫がある場合、体外受精を行っても妊娠率が下がる傾向にあるという事です。

その理由としては、溜まっている液体に受精卵に対する毒性があるという点と溜まった液体が流れてきた時に受精卵を押し流してしまうという点があると考えられています。

そのため卵管水腫の状態によっては、移植前に腹腔鏡による卵管切除術やクリッピング術をお勧めする場合があります。
まとめますと

・卵管水腫は卵管の両端が詰まって卵管液が溜まっている状態
・基本的には体外受精の適応
・妊娠率向上のため、腹腔鏡手術を行う場合もある
という事でした。
なかなかやっかいな病態ですが、適切な治療が妊娠につながりますので、個々人の状態に応じて最適な治療法を選択していきたいものです。

 

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(文責:医師部門 江夏 徳寿、理事長 塩谷 雅英)

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