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男性不妊情報
初期胚移植(凍結)にするか胚盤胞移植(凍結)にするか。
よく聞かれるのが「どっちがいいんでしょうか?」という質問です。
前回、初期胚移植と胚盤胞移植との違いについてお話ししました。
今回はどちらが良いかについて調べた研究について紹介したいと思います。
Cleavage-stage or blastocyst transfer: what are the benefits and harms?
(初期胚移植か胚盤胞移植か:それぞれのメリットとデメリットは?)
これはアルゼンチンのGlujovsky氏とニュージーランドのFarquhar氏が2016年にFertility and Sterility誌に発表した論文になります。
この研究では多数の論文の結果を抽出してまとめるシステマティックレビューという方式を用いています。
対象となった研究は27のランダム化試験のうち出生率まで報告されていた13の研究のようです。
いずれの検討でも新鮮胚移植を対象としており、余剰胚ができた場合のみ凍結しています。
早速結果を見ていきましょう。上の表は初期胚移植と胚盤胞移植の出産率の違いを比較したものです。
全体的に胚盤胞移植の方が成績が良く、トータルで見ると有意に胚盤胞移植の方が出産率が高い事が分かります。
ちなみに表には示されていませんが、流産率は両群で変わりないということなので、出産率の差は単純に胚盤胞移植の方が妊娠率が高い事に起因する事になります。
という事で、胚盤胞移植の勝ち!かというとそうとも言えません。
なぜなら、これは移植1回あたりの結果であるため、凍結された受精卵や逆に発育せずに移植に至らなかった症例が含まれていないためです。
では、採卵1回あたりの妊娠率を見るとどうなるのでしょうか。
次回はその結果を見てみましょう。
関連の記事もご参照ください。
初期胚移植か胚盤胞移植か!? どちらが良いのでしょうか。 その違いとは
(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)