"
男性不妊情報
実際に子宮内膜の厚さと移植成績の相関とはどのようになっているのでしょうか?
前回よりそのような疑問に対する研究をご紹介しています。
今回は結果の前半部分をお話しします。
子宮内膜の厚みの分布と実際の妊娠率を示した図です。
全体の5%を占める8.0mm以下の群では妊娠率がやや低い事が分かります。
では、子宮内膜の厚さに比例して妊娠率が増加するのかというと、やや微妙という結果でした。
(マンテル・ヘンツェル検定ではp=0.042だが、スピアマンの相関係数はr=0.053、ピアソンの相関係数もr=0.0543と微妙だった)
それでは結局カットオフ値を何mmに設定したら最も差が出るかということを検定するために幾つかのカットオフ値を用いて、その前後での妊娠率を比べています。
上の表を見ていただくと、全体的にバーが1より右よりになっています。
つまり内膜が厚い方が妊娠率が高めということになりますが、統計学的に有意な差と言えるのは9mmと設定した場合のみになっています(オッズ比1.69、p=0.001)
また、カットオフ値を設定するのに良く用いられるROC解析も行われていますが、
こちらは相関が低い(AUC=0.53)ということで、こちらからのカットオフ値設定はなされていません。
次回は子宮内膜の厚さも含め、出産を予測する因子を求めた結果も見てみましょう。
前回の記事はこちらからご参照ください
(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)