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男性不妊情報
体外受精や顕微授精で受精卵が得られた後、移植の前には必ず子宮内膜の厚さをチェックしています。
子宮内膜は受精卵が着床するためのベッドのようなものですから、できるだけ厚くふかふかのベッドにしておきたいと考えるのが一般的かと思いますが、実際に子宮内膜の厚さと移植成績の相関とはどのようになっているのでしょうか?
これに関しては色々な報告がありますが、最新の報告についてご紹介したいと思います。
Endometrial thickness on the day of embryo transfer is a poor predictor of IVF treatment outcome
(胚移植時の子宮内膜の厚さは体外受精の成績にあまり関与しない)
この論文はドイツとスイスの共同研究で2017年のHuman reproduction open 誌に発表された研究です。
対象となっているのは、排卵誘発を行って採卵時に3個以上の卵子が採れた1401名の方です。
胚移植時にエコーで子宮内膜の厚さを計測し、年齢や採卵個数などの因子を調整した後、子宮内膜の厚さと妊娠の相関を調べています。移植前には黄体補充としてプロゲステロンの膣座薬を用いられています。
上のグラフは移植時の子宮内膜の厚さの分布を示したものです。
1mm毎に区切ってそれぞれの厚みを持つ人数のパーセントを示しています。
全体の中央値は10.9mmで、7mm以下だった方は全体の5%、8mm以下だった方は全体の10%であったことが分かります。
次回からは結果を見ていきましょう。
(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)