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男性不妊情報
前回より、ニコチンと精子の関係について調べた研究をご紹介しています。
この研究では19歳から26歳の12人の被験者から得られた精子に液体に溶かしたニコチンを加えて、いくつかの濃度で精子の動きに与える影響を調べています。
評価項目は、精子運動自動解析装置を用いた精子の運動の質と、蛍光顕微鏡を用いた先体反応を見ています。
さて、結果を見てみましょう。
上の棒グラフは精液にニコチンを加えて30分後、60分後、120分後、180分後の精子の運動と先体反応を調べたものです。
これを見ると、ニコチン濃度が増える程、精子の運動の質は低下している事が分かります。
一方、先体反応についてはニコチン濃度が上昇するほどに反応が早まることが確認されています。
この研究ではさらに特殊な染色方法を用いて、精子の生存率を測定しています。
上の表を見ると、ニコチン濃度が高い程精子の生存率が低下していることが分かります。
ということで結論としては、
・ニコチン自体が精子の状態を悪化させる。
・ニコチン濃度が高いほどより悪影響は強い。
でした。
この実験は精子に直接ニコチンを添加しており、実際の喫煙の状況とは異なりますが、ニコチンそのものが精子に影響を与えるという意味で重要な報告かと思います。
過去の記事もご参照ください。
(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)