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男性不妊情報
タバコが精子に悪影響を与える事については良く知られていますが、実際にどの物質が悪いのでしょうか?
ニコチンよりタールが悪い、もしくは一酸化炭素が悪いなど色々言われていますが、タールとはタバコの燃焼によって生じる物質の総称ですから色々な物質が含まれています。
前回、加熱式タバコでもニコチンの量はそれ程変わらないという事をお伝えしました(記事へのリンクは下記をご参照ください)が、ニコチンそのものの害はどうなのでしょうか?
本日はニコチンと精子の関係について調べた研究をご紹介したいと思います。
In vitro effects of nicotine on human spermatozoa
(実験環境においてニコチンがヒト精子に与える影響)
この論文は南アフリカのOyeyipo氏らが2013年のAndrologiaに発表した研究です。
この研究では19歳から26歳の12人の被験者から得られた精子に液体に溶かしたニコチンを加えて、いくつかの濃度で精子の動きに与える影響を調べたものです。
評価項目としては、精子運動自動解析装置を用いた精子の運動の質と、蛍光顕微鏡を用いた先体反応を見ています。
先体反応とは精子が卵子の表面に接近した時に起こる反応で、受精に欠かせないものですが、卵子に接近していないのに先体反応が起きてしまうとその後の受精能力が失われてしまいます。
このような不必要な先体反応は化学物質や放射線などによって引き起こされるとされており、妊娠力の低下を招くと考えられています。
次回は結果を見てみたいいと思います。
過去の記事もご参照ください。
(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)