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男性不妊情報
前回より、男性の下着が精子に与える影響について、長年の戦いに白黒つけるべく行われた研究を紹介しています。
Type of underwear worn and markers of testicular function among men attending a fertility center
(不妊外来に受診している男性の着用している下着の種類と精巣機能)
トランクス、ブリーフだけでなくビキニパンツやジョッキーパンツなども含めて、ぴったり下着とゆったり下着で分けています。
バックグラウンドにほとんど差はなく、純粋な下着対決で精液検査の結果やホルモン値を比較しています。
それでは結果を見てみましょう。
ゆったり下着とぴったり下着ではどっちがどっちか紛らわしいので、両者を代表してトランクス派vsブリーフ派として群分けしてあります。
これを見ると、他因子調整前の比較で精子濃度がトランクス派64.7(百万/ml)に対してブリーフ派51.9とトランクス派の方が25%程高い水準になっています。
また運動率についてもトランクス派の方が6%程高いようです。
結果として、総運動精子数ではトランクス派の方が40%も高くなっており、それぞれ統計学的有意差がついています。
これは他因子による調整をおこなっても同様の結果となっています。
続いて、両者の血中のホルモン値を比較しています。
上の表を見ると、ブリーフ派の方がFSH(卵胞ホルモン)が高くなっている事が分かります。
FSHは精巣の機能が弱っている時に下垂体が「もっと頑張れ!」と気合いを入れるときに上がるので、この結果はブリーフ派の方が精巣機能がやや弱っている可能性を示唆します。
ただ、精巣で作られる男性ホルモンであるテストステロンは両群の間で差がありませんので、精巣機能が弱っているといってもそれ程大きな差ではないと考えられます。
という事で、結論としては
・トランクス(ゆったり下着)の方がブリーフ(ぴったり下着)より精子に良い
でした。
この原因としては、ブリーフの方が熱がこもりやすいためと考えられます。
精巣は熱に弱い臓器で、体外に存在する事によって体温より2℃ほど低い環境を保っている訳ですが、考えてみると外に出されている臓器は精巣くらいのものです。
男性なら皆さんご存知の様に、厚いときは陰嚢はだらーんと垂れ下がるのに寒くなると陰嚢は縮こまり暖をとろうとします。
この事から考えても精巣にとって温度調整がいかに大切かが分かると思います。
下着選びの参考にしてみてください。
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(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)