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男性不妊情報
前回、アルコールと妊娠の関係 ということで、「アルコール摂取が女性の妊娠に与える影響、18年の前向き調査の結果」という研究の紹介をしました。
おさらいですが、この研究ではアルコール摂取量に応じて少量、中等量、多量の3群に分けています。その基準として、1週間にスピリット1/2本以上もしくはワイン2本以上飲んでいる方を多量と定義し、飲むけど週にワイン2本まではいかないという方を中等量、機会飲酒程度で1回の量もそれほど多くない方を少量と定義しています。
さてその結果です。
上の表では、中等量のアルコール摂取群を基準として、少量群、多量群におけるリスク比を求めています。
この研究で最初に強調されている部分はアルコール摂取量に比例して、不妊のリスクが増大するという部分です。
一方で、流産率には各群とも差がなく、一旦妊娠してしまえば、アルコールの影響はあまり無いと考えられました。
また、子宮外妊娠、骨盤内炎症に関しても各群で差はないという結果でした。
中絶に関しては、アルコール多量群で多くなっていますが、これは未婚の方や離婚した方が多かったためと考えられています。
一方で不思議なのが、実際の出産で1回目、2回目の方がアルコール少量群、多量群ともに少なくなっているところです(3回目に差はありません)。
アルコール多量群では中絶が多かったので、実際の妊娠が減ることが説明できますが、少量群においての説明は困難であると著者らは述べており、もしかしたらアルコールをあまり飲まない方は出会いが少なかったり、子供を望まない方が多いのではないかと推察されていますが、はっきりしません。
いずれにせよ、実際に出産されている数では中等量摂取の方が最も多くなっているため、上述の不妊リスクとあわせてアルコール多量群のみが妊娠を遠ざけるファクターと結論付けられています。
結論としては、
・多量の飲酒は妊娠を遠ざける。
・不妊が疑われる方はアルコールは少量にしておいた方が良い。
でした。
とはいえ、日本人で週にワインフルボトル2本飲まれる方はあまりいないでしょうから、そこまで気にしなくても良さそうです。
お酒は適量が一番というのは常識ですが、妊活中はそこからちょっと減らすくらいの感じでいいのではないでしょうか?
(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)