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男性不妊情報
今回は男性におけるレトロゾールの効果について調べた下記の研究について紹介しています。
Changes in hormonal profile and seminal parameters with use of aromatase inhibitors in management of infertile men with low testosterone to estradiol ratios.
(低テストステロン、エストラジオール比を有する男性不妊患者に対するアロマターゼ阻害薬がホルモン動態と精液所見にどのような影響を与えるか。)
前回の記事 男性不妊にもレトロゾール!? その仕組みはどなってるのでしょう では、
アロマターゼ阻害薬であるレトロゾール(フェマーラ®)やアナストロゾール(アリミデックス®)は、もともとは乳癌の治療薬として開発されましたが、近年は女性の排卵誘発剤としても広く用いられていいて、男性にもその効果が期待されるというお話をしました。
では実際に使用した結果はどうだったのかご紹介していきます。
まずはレトロゾールの使用前と使用後のホルモン値と精液所見を見てみましょう。
これを見ると予想通り、テストステロン(T)値が上昇しエストラジオール(E2)が低下している事が分かります。
結果としてT/E2比は大幅に上昇している事が分かります。
精液所見に関しては精子濃度、運動率ともに有意に改善していることが分かります。
同様にアナストロゾール1mgを連日投与した群での結果を見てみます。
レトロゾール群と同様にTが上昇しE2が低下しておりT/E2比が上昇しています。
また精子濃度、運動率ともに有意に増加しており、レトロゾールの効果とほぼ同じと考えられます。
もともとこの2剤はほぼ同じ薬剤なので、当然の結果と言えるかもしれません。
少し気になるのが、この研究では両群ともにFSHの上昇は認めていません。
これは、前回のクロミフェン投与での研究とは違うところで、もともとFSHが正常範囲にあったことが影響しているのかもしれません。
この研究の結論は
・乏精子症患者のうち、TおよびT/E2比が低値な場合はレトロゾールによる精液所見の改善効果が期待できる。
となっています。
レトロゾールは本邦では女性に対する使用も保険適応となっておらず、男性での使用はまだまだこれからという所ではありますが、今後の調査により有効性が確立されることが望まれます。
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(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)