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男性不妊情報
体外受精や顕微授精は通常70-80%程の確率で受精しますが、まれに受精率が50%もしくはそれ以下になるような場合があります。
このような状態は受精障害といいますが、そうした場合に卵子刺激法としてカルシウムイオノフォアという方法を用いる事があります。
実際の手技などに関しては、培養室からのた記事「卵子が授精するためのお手伝いとして」を参照していただければと思いますが、これが実際にどれくらい効果があるのでしょうか。
本日はカルシウムイオノフォアの効果について検証した研究をご紹介したいと思います。
Does the use of calcium ionophore during artificial oocyte activation demonstrate an effect on pregnancy rate? A meta-analysis
(卵子刺激の際に用いるカルシウムイオノフォアは妊娠率に影響するのか?メタ解析の結果)
これはイギリスのMurugesu氏らが2017年のFertility and Sterility誌に発表した研究です。
この研究は卵子刺激法としてカルシウムイオノフォアを用いた14件の研究を選びメタ解析を行っています。
(メタ解析とは、別々に行われた複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析することをいいます。一般的には質の高い根拠が得られるといわれています)
基本的に受精障害のあるケースが対象となっているため、カルシウムイオノフォアを行わなかった群では受精率が47.4%と低い水準になっています。
一方でカルシウムイオノフォアを用いた群では59.2%と有意に高い水準になっています。
オッズ比も3.74(95%信頼区間 1.84-7.57)であり、統計学的に有意な差であると考えられます。
それでは、カルシウムイオノフォアの効果が妊娠率、出産率にどのように影響するのかの結果を次回紹介していきます。
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(文責:医師部門 江夏 徳寿、理事長 塩谷 雅英)