"
男性不妊情報
今回は従来の胚盤胞グレードと関着床前診断の結果とは関連があるのかという疑問について調べた研究について紹介しています。
前回のお話し(その2)では、胚盤胞のグレードと染色体正常胚の関係について下記4群に分類して調べた結果、
excellent(Grade3AA以上)、
good(Grade3,4,5,6,AB and BA),
average (Grade 3,4,5,6 BB,AC and CA),
poor(Grade3BB以下)
excellentとされる良好胚盤胞では正常胚の割合が高く、poorの群では低いことがわかりました。
では、染色体正常胚での妊娠率がグレード別に差があるのかについても見てみましょう。
上の図は、染色体正常と診断され移植を行った場合の継続妊娠率(妊娠初期で流産にならなかった妊娠)を各群で調べています。
これを見ると、受精卵のグレード別4群すべてで、継続妊娠率が50%前後となっており、染色体正常と診断されたらグレードが低くても良好胚盤胞と同等のポテンシャルを持つことを示唆します。
同様に、胚盤胞の成長スピードでも比較していますが、
day5とday6いずれも50%前後ということで、やはり染色体正常と診断されたら胚盤胞の成長スピードに関わらず良好な妊娠力を持つことが分かります。
ということで、結論としては
・胚盤胞のグレードは染色体正常胚の割合と相関する
・染色体正常胚と診断された場合、グレードが低くても良好胚盤胞と同様の妊娠率を持つ
という事でした。
少し意外な結論ではありましたが、非常に参考になる画期的な研究だと思います。
参考にしていただければ幸いです。
関連の記事もご参照ください。
(文責:医師部門 江夏 徳寿、理事長 塩谷 雅英)