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男性不妊情報
先日禁欲期間と精液所見の関係について、ベストの禁欲期間は1日~2日ということをご紹介いたしましたが(前回の記事はこちらから)、
同様の疑問としてタイミング法では夫婦生活は毎日とった方が良いのか?すこし空けた方がいいのか?
という質問はよくあります。
理論的には毎日の方が良さそうですが、実際どれくらい違うのでしょうか?
今回は2016年に出されたアメリカ生殖医学会(ASRM)のコメントをご紹介します。
Optimizing natural fertility: a committee opinion (自然妊娠を最大限に:委員会の意見)
ここでは性交渉のタイミングと頻度について述べられていますが、まずタイミングについてご紹介します。
上記のグラフは排卵日を基準として性交渉を行った日別に妊娠率をグラフ化したものです。
排卵日6日前から排卵日までが妊娠可能期間であることが分かりますね。
タイミング法はこの期間を狙って性交渉を行ってもらうという方法になります。
ちなみにベストのタイミングは排卵2日前となりますので、診察でそろそろ排卵しそうという事が分かれば「是非今日からタイミングをとってください!」ということになります。
さて、本題の性交渉の頻度についてですが、
毎日の場合は37%と最も高いのに対して妊娠可能な6日間に1回だけだと15%と低くなっています。
ただ隔日でタイミングが持てた場合は33%となっていますので、それ程悪くありません。
ということで、理論的にはタイミング法では毎日夫婦生活をもってもらうのがベスト!ということになります。
が、ここで注意しなければいけない落とし穴があります。
それはタイミングEDといって、タイミング法のために性行為が義務化してしまい男性がストレスを感じてしまいED(勃起不全)に陥ってしまうという問題です。
上記のASRMの声明でも述べられていますが、義務的な性行為は男性がストレスを感じる事が多くなるために、タイミングの頻度としてはできれば毎日だが、2日おきでも構わない。
最も大事なことは夫婦のとりやすいタイミングで行ってもらう事と言われています。
まとめると
・タイミングはできれば毎日がいいけれど、無理は禁物
・狙うなら排卵日2日前
というところでしょうか。
男心は意外と繊細なもの。仲良いパートナーシップを築くことを第一に無理のない範囲で頑張りましょう。
過去の記事もご参照ください。
(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)